先日成立した総額25兆6914億円の2020年度補正予算ですが、全国民を対象とした現金10万円一律給付の「特別定額給付金」の費用として12兆8803億円、そして、私たちが注目している売り上げが急減した中小企業に最大200万円、個人事業者に最大100万円を給付する「持続化給付金」として2兆3176億円が計上されています。
「持続化給付金」2兆3176億円の規模感は
この2兆3176億円がどれくらいの規模なのかをちょっと考えてみました。
中小企業白書2014(ちょっと古いデータですみません)によると、我が国の事業者は、
中小規模の法人 約168万社
個人事業者 約217万社
合計385万社あるようです。
このうちの何社が対象となるのか?
どれくらいの事業者が、「前年対比で売上が1ヶ月でも半減」となるのかと言うことですが、仮にざっと半分として(根拠はありません。実際はもっと多いと思います)、約190万社となります。
ちなみに、今回の給付金のすごいところは、この「前年対比で売上が1ヶ月でもの半減」したら対象となる点です。
すなわち、年間通して前年比プラスでも、対象となるんですね。
話を戻して、法人上限200万円、個人上限100万円ですから、まあ、全ての人が上限いっぱいではないとして、そして、比率的には個人事業者の方が多いので、それを勘案して、仮に平均120万円(根拠はありません)の支給があったとすると、
120万円×190万社=2兆2800億円となり、
なんと、たまたまですが、ほぼ予算と同額になります。
ひょっとしたら、経済産業省としてはこれくらいの試算だったのかも知れませんね(ある情報によると経済産業省の想定は、130万社という話もあります)。
ただ、おそらく申請数が企業数の半分ってことはないと思いますので、2次補正で追加の予算は必要となるでしょうね。
【補足】5/8の日経新聞によると、
税務申告をしている中小企業と個人事業主の合計約650万事業者のうち、2割超にあたる150万事業者への支給を想定しているとのこと。
また、東京商工リサーチの企業調査によると、中小企業の16%が4月時点の売上が前年同月比で半減しており、12月までで売上が半減すると見込むのは、中小企業の56%にのぼっているとのこと。
初日の申請状況は
さて、初日の申請状況ですが、5月2日の日経新聞によると、申請が殺到し一時受付ができなくなる状態(サーバーダウン?)になっていたようです。
経済産業省は、連休中も審査などの作業を続け、8日の給付開始を目指しているとのこと。お役人の方も頑張ってくださっているんですよね。ありがとうございます。
そして、経産省によると、1日の16時時点で約3万8千件の申請手続きが完了したとのこと。
私が1日の17時半頃に申請をして、申請番号が77,000番台でした(おそらくこれが申請数だと思うのですが)。私の知人が夜中の0時過ぎに申請して、18万番台だったようです。
では、今回の本題に入ります。
以前のブログで、私が実際に行った法人の申請手続きをご案内しましたが、今回は、個人事業者(フリーランス)の方について解説したいと思います。
その前に、制度の概要と申請方法のおさらいはこちら。
実は、私は、会社経営とは別に個人事業も行っておりまして、今のところそちらは売上が前年比で半減してないので対象外ですが、この状況が続けば、対象となる可能性も出てきますので、申請を視野に入れて今から準備しておこうと思ってます。
個人事業者の申請手順は法人と同じですが、一部用意する書類と給付額の考え方が若干異なります。
個人事業者(フリーランス)の用意する書類は
①確定申告書類
●確定申告書第一表の控え(1枚)
●所得税青色申告決算書の控え(2枚) → 2019年分
※確定申告書第一表の控えには収受日付印が押印(受付日時が印字)されていること。
各データの保存形式はPDF・JPG・PNGで
●確定申告書第一表の控え(1枚) → 2019年分
※収受日付印が押印(受付日時が印字)されていること。
●上記の書類に加え、受信通知
私は、個人の確定申告書類は郵送してますので、手元にある申告書の控えには収受日付印がありません。
申告時に依頼をすれば収受日付印入りの控えをもらえるようですが、必要性を感じていなかったので依頼しておりませんでした。
それで、どうしたもんかと考えておりましたら、ちゃんと解決策が示されておりました。
「確定申告書第一表の控えに収受日付印の押印(受付日時の印字)または受信通知のいずれもない場合」
提出する確定申告書類の年度の「納税証明書(その2所得金額用)」(事業所得金額の記載のあるもの)を提出することで代替することができるようです。
納税証明書の取得は、税務署へ行くか、オンラインで請求ができるようです。
確定申告書の控えがなければ申請できません。控えのない方は、税務署で再発行してもらうことができますが、1ヶ月程度かかるようです。
②対象月の売上台帳等
これは法人と同じですね。
対象月の事業収入額がわかる売上台帳等を提出します。
フォーマットの指定はないので、経理ソフト等から抽出したデータ、 エクセルデータ、手書きの売上帳などでも構いません。書類の名称が「売上台帳」でなくても構いません。ただし、提出するデータ が対象月の事業収入であることを確認できる(2020年〇月と明確に記載されている等)必要があります。
③通帳の写し
これも法人と同じです。
これは特に問題ないですよね。
④本人確認書類
法人にないのがこれです。
本人確認書類は、下記のいずれかの写しを住所・氏名・顔写真がはっきりと判別できるかたちで提出します。
(1)運転免許証(両面)(返納している場合は、運転経歴証明書で代替可能。)
(2)個人番号カード(オモテ面のみ)
(3)写真付きの住民基本台帳カード(オモテ面のみ)
(4)在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(在留の資格が特別永住者のものに限る。)(両面)
※いずれの場合も申請を行う月において有効なものであり、記載された住所が申請時に登録する住所と同一のものに限ります。
なお、(1)から(4)を保有していない場合は、(5)又は(6)で代替することができます。
(5)住民票の写し及びパスポートの両方※パスポートは顔写真の掲載されているページ(6)住民票の写し及び各種健康保険証の両方※各種健康保険証は両面
給付金額の算定は
算定方法は法人と同じですが、上限額が異なります。
前年の総売上(事業収入)-(前年同月比50%減の月の売上×12ヶ月)
昨年と比べて売上が50%以上減った「任意の月」を基準(対象月)とします。
すなわち、給付額は、
「前年の総売上ー対象月の年換算売上」
または、
「限度額100万円」
のどちらか低い方となります。
どの月を基準にするかで、給付額か変わるので注意が必要です。
例えば、こんな場合。
2019年の売上が、600万円。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
前年の売上 | 40万円 | 100万円 | 90万円 | 40万円 |
今年の売上 | 30万円 | 50万円 | 45万円 | 20万円 |
※2020年1月から12月までの間で、月間事業収入が、前年同月比50%以下となる月で任意で選択した月を「対象月」と呼びます。
1月は、売上が50%減ではないので対象月となりません。
2~4月は全て対象月となりますが、いつを対象月とするかで給付金額が変わります。
2月を対象月とした場合
年換算売上=50万円×12=600万円
前年の売上より下がっていない為、給付はありません。
3月を対象月とした場合
年換算売上=45万円×12=540万円
600万円-540万円=60万円の給付となります。
4月を対象月とした場合
年換算売上=20万円×12=240万円
600万円-240万円=360万円となり、
給付額は上限の100万円となります。
※ただし、白色申告や青色申告でも所得税青色申告決算書に月間事業収入の記載がない者等は、2019年の月平均の事業収入と対象月の月間事業収入を比較することになっています。
すなわち
せっかくの給付金をしっかりと受け取るためには、前年同月比50%以下で、
「前年度売上-年換算売上」が100万円を超える月、
もし超えないようなら、
売上が一番低い月を選択することがポイントとなります。
対象月は、2020年1月から12月までの間で選択できますから、もし現状で上限に達する程の売上の減少月がなく、また、資金繰りに余裕があるのであれば、慌てて申請しなくてもいいのかも知れません。
給付金額の試算
中小企業庁の特設ページから様々なケースの試算ができるようになっていました。
詳しくは
経済産業省のこちらのガイダンスをご覧ください。
経済産業省:持続化給付金に関するよくあるお問合せ
ちなみに、このQ&Aの中に、
「副業している場合はどうなるのか。」
という問いに対して、
「確定申告において事業収入がある場合は、対象になります。」
という回答があります。
すなわち、どんな形でも確定申告書の「事業収入」の欄に記載があれば、対象となるということなんでしょうね。
問い合わせは
持続化給付金事業コールセンター
受付時間:8時30分~19時00分
(5月・6月(毎日)、7月から12月(土曜日を除く)
直通番号:0120-115-570、IP電話専用回線:03-6831-0613
LINEアカウント
LINE ID:@kyufukin_line